リテールDXと動画体験のこれから
こんにちは。Fireworkでリテール事業の責任者を務めております松本と申します。
私はこれまで、デジタル広告やマーケティングの業界で様々な経験を経てきましたが、近年の業界の変化はとにかくスピードが速く、目まぐるしく進化しています。特にリテール業界においては、ECの急成長、スマートフォンの普及、SNSを中心とした消費者行動の変化など、従来の常識がどんどん塗り替えられている状況です。
そのような中で、今や「動画」は、小売・ブランドにとっても最重要トピックの一つといえる存在になっています。消費者の視覚・聴覚に訴えかけ、感情に働きかける力を持つ動画は、単なる販促ツールの域を超え、接客、情報伝達、ブランド体験の全てに関与する存在になりつつあります。
動画はリテールとブランドを結ぶ最前線
TikTok Shopに代表されるように、今や動画と購買をシームレスに結びつける「ショッパブル動画」は、国内外のプラットフォーマーたちの間で標準的な機能になりつつあります。視聴体験から購入体験までを一貫して提供するこの流れは、もはや一過性のトレンドではなく、今後の“購買導線のスタンダード”と呼べるものです。
こうした流れを背景に、リテール企業やブランドは「どうプラットフォームに依存せずに自社体験をつくるか?」という新たな課題に直面しています。Fireworkは、この課題に対し“自社サイトやアプリ、店舗といった自前のチャネル”で動画接客体験を実現できるソリューションを提供しています。
プラットフォーマーに頼らない選択肢としてのFirework
Fireworkは、SNSでも馴染みのあるショート動画やライブ配信を、ブランドやリテーラー自身が自社サイトやアプリ、さらには店頭サイネージなどに実装できるプラットフォームです。私たちの目指すのは動画を通じた「オンライン接客体験の再構築」です。
この取り組みには大きく2つの軸があります。
販促視点からの接客体験
動画は、従来の画像やテキストでは伝えきれなかった商品の魅力や使い方、ブランドのストーリーを直感的に伝える力があります。化粧品、アパレル、食品など、五感に訴える必要がある商材において、動画はまさに“動く接客スタッフ”と呼べる存在です。
ユーザーは、ただ情報を得るのではなく「理解して、納得して、共感して買う」というプロセスを経ることで、購入後の満足度やリピート率も高まります。Fireworkはこうした一連のプロセスを、Web上で再現可能にします。
リテールメディア視点からの新たな収益モデル
また、近年リテール業界で注目されているのが「リテールメディア」です。店舗やECサイト、アプリなどの自社チャネルを“メディア”と位置づけ、メーカーやブランドから広告出稿を受ける形で新たな収益源を創出する考え方です。
Fireworkの動画が埋め込まれた場所の一部を「広告枠」のように捉えることで、ユーザー体験を損なうことなく、商品提案やブランド紹介といった広告的な文脈を融合させることができます。データ連携により、どの動画がどのセグメントに対して効果的だったか、ECや店頭での購買結果まで可視化できる点も評価されています。

動画体験が生み出す「三方良し」
私たちは、Fireworkが提供している様々な機能やソリューションを活用することで、以下の「三方良し」が実現できると考えています。
- 小売企業:購買体験を進化させ、リアル店舗とは異なるオンライン接客の質を高められる
- ブランド:自社の魅力を直接伝える場を持ち、エンゲージメントの高い消費者にリーチできる
- 消費者:自分に合った情報を、受け身ではなく能動的に楽しく取得できる
この三者それぞれにとって価値をもたらす動画体験こそが、Fireworkが提供するソリューションの本質であり、今後のリテールDXの鍵になると考えています。
連載の今後について
この連載では、こうしたリテールDXと動画体験をテーマに、今後さまざまな企業や有識者へのインタビューを通じて、業界全体の動きや実践例を紐解いていきます。
初回の今回はイントロダクションとして、私自身の問題意識とFireworkの考え方をお伝えしましたが、次回以降はより具体的な現場の声を掘り下げていきます。